きよらの賦/宮内緑
 
みとめてくれると

 おさないわたし あわれなほど世間しらずで
 ほろほろと狭隘の谷地にながれた
 わたしの心を知る たった一人の私
 時を逸し 声にみたない願いに
 お互いを結びつける力などなかった
 私は大地を流れ 岩床に時をそそいだ
 あなたは空を翔け 赫く命を生きぬいた

なにもしらずにおもいつづけた
 夕ひは熾(さか)んにきょうのおわりをつげるのに
いつでもあなたをおもいつづけた 
 わたしのこころ かれはてるまで

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