爪/次代作吾
 
こんなしとる時も
爪は伸びているぞ!
爪は切るものと相場が決まっている
税金に文句言う人間はいても
爪が伸びることに文句を言う人はおらない
僕からしたらおんなじことだけれども
これは詩なのだろうか
きっと、詩ではないだろう
それでもいい
この瞬間も爪は伸びているのだから
息を吸って吐いているだけなのに
人間はさみしい生き物だ
どこまでもどこまでさみしい
いろんな人がいる
それがさみしい
生きていれば
生きているから爪は伸びる
そして切られる
なんということだろう
まったく平気ではいられない
こんなことが
こんなことがあるなんて
この詩を読んだ人は自分の爪
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