夏、弾丸高気圧、殺人/北街かな
口もない。
ぐじゃぐじゃのざらざらになるまえに、きれいにしまいこむために、そうだ、棚を買ってこよう。
雲のようにしろい棚を。
悔やみと悔しみを圧縮して縦にして、隙間なく整頓するための。
完全に死んでしまった失敗した白雪姫の肌ような棚のうえには、季節性の沈黙があった。熱い影が濃く黒く焼きついて出来ているそれは、どう見ても拳銃のようだった。
引き金は爪のようにかがやき、指先の引っかかるときを正午までずっと待っているのだ。
ふんぎりがいつまでもつかなくて、手元で指先だけを動かしていて、
ああだこうだと引き方を考えて、音を想像して、衝撃に耐える体勢をとっては返し、またひと指し指をじり
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