創作童話詩/水菜
それに足を取られているのに
あなたはそれに平気なふりをしているの
ふるふるとゆれる唇の周りに付いた花弁はいくつもいくつも重なって
いつの間にかあなたの唇は塞がっているの
何処かのお家で綺麗に洗濯されたせっけんの香りのする沢山の白い洗濯物
石鹸の香りに包まれて
子供の頃に遊んだシャボン玉
ふわりふわりと浮かんでは音もなく消えていった
そのうちそれは消えると思うの
それは一瞬の幻のようなものだから
唇が塞がってしまっているから
あなたは声が出せない
今にも雨が降りそうね
しとしと雨になる前に
しとしと雨がふる前に
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)