創作童話詩/水菜
 
わるふわりふわる

ふわるふわるふわりふわる







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 『声』

あなたはもう声を出せない

小さな紅色の花びらを唇の周りに散らして付けたの
閉じた瞼の向こう側に透けて見えた光が
ちらちら赤く燃えたように見えたの
大事に閉じ込めていた少女がドアをノックして外に出よう出ようとしているの
少しそれは大事なことで少しそれをあなたは気にしているの
あなたはその子の母だから

あなたはもう声を出せない

道はいくつも開いているように見えているのに
いつもあなたの前に何かが塞がっているのね
それ
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