創作童話詩/水菜
 
の素早く動く手が好きだった
オイルの匂いには辟易していたが
彼の声も嫌いじゃなかった

「アンナは、つま先立ちして、あの箱を取っただけなんだよ」
フランクフルトにクラウンベリーが降り続いた夜に
アンナを待ってゴルゴンゾーラは悲しい顔をしている
クラウンベリーは悲しくなってオイルの匂いのする手で彼女の泪を拭ったけれど
かさかさの手が彼女の肌に触れるのを躊躇ってクラウンベリーは直ぐに手を隠してしまった


 





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  『雨玉』




雨をちいさな玉状にして空から降らせてる神様は
誰かのことを想ってい
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