創作童話詩/水菜
*****
『アリサ』
想像したのは、白い少女の袂 美しい羽のようなやわらかな裾
指先からやわらかなレースへとつながっているかのようなかろやかにたなびく風
白い少女は、そこに座り込み、美しく喉をならす
命の恵みの湧き水は、仄白く月明かりに照らされて冷たい岩肌に寄り添うように
風が、彼女を包み込み、二分する
白く分かれた彼女は、泉に滑り込み
生身の彼女は、空を見上げて
星占いは、点の連なり
涙は、風との決別
白い嵐は、彼女の肌を荒らし、孤独に誘い込むけれど
彼女は、性別を変え、性質を変えて
くるくる回る運命の歯
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)