創作童話詩/水菜
一.男は転げている
ガラスを抱えた男が指先でそれを弄びながら暴れている
彼は幻覚を目にしていて見えないそれに怯えている
二.ワニは叫んでいる
人食いワニが男の傍に寄り興味深げに男を見つめている
いつ食らいつこうかと機会を待っている
三.ガラスが割れている
辺りに散らばり粉々になったガラスがそこに広がっている
男は初めからワニに食われてやる気など無かった
じゃりじゃりと散らばったガラスに足を取られないようにしながらもワニから後退し始める
男は幻覚を見ることも暴れることも忘れワニから逃れようと後退を続ける
幻覚が現実となり男の
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