創作童話詩/水菜
 
ろ、清水さんから連絡があり、夜中の3時ごろであったと思います。彼女が何も言わず泣き出してしまうので、不安になった私は、彼女の家に向かいました。彼女は、ぼんやりと庭の桜の木の辺りで木に寄りかかり何処か遠くを見ておりました。

「あたし、さなぎに、なりたいの」

清水さんは空虚な眼をしてひどく平坦な声でそう口に致しました。良く回らない頭で何故そんなものになりたいのか、彼女に尋ねても口を閉じたまま彼女はぼんやり空を眺めて身動ぎも致しません。

静かに泪を流している彼女の姿が酷く痛ましく思えて、私は、そっとその木に寄り掛かるとじっと俯いておりました。

そのまま清水さんは越してしまい私は彼
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