創作童話詩/水菜
 
は彼女とは離れてしまいましたが、今でも時折思い出すのです。

「あたし、さなぎに、なりたいの」


さなぎ

 細い糸をつぅっと引き、するすると 女が降りてきました。 酷い火傷をした顔はとろりと溶けてしまって酷い有様です。天井から降りてきた女は、声が出せないようで、身振り手振りで何かを訴えようと致しますが、何を伝えたいのか全く理解出来ません。
何とも言えず嫌な気持ちになった女はさなぎのようなその女を半ば引き摺るようにして外へと出しましたが、女の細く白い糸は切れることなく細く細く伸びていきます。
いよいよ気味が悪くなった女は、女が消えた方向をじっと不安そうに振り返りながらも、床に付
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