創作童話詩/水菜
 
な壁を破って突き抜けた白針は、
偶ゞその下を通り抜けた私の額に突き刺さり、小さな傷を付けた
すぅっと一本私の肌を傷付けた白針は、そのまま古びた板張りと煤けてすっかり煉瓦色に変色した絨毯の隙間にカタリと、入り込んでしまった
割れた時計の示していた時刻を私は知り得ない

古びた木造校舎の窓枠から外を見たのは
鼻を刺激するテッポウユリの香りに惹かれたからだった

よこむきに、凛と揺れるその姿は、私の肌をきずつけた白い秒針に少しにているような気がした
鼻を霧雨の匂いに、波の音

小さなこどもたちが、走り抜けていく
幻のそれは
私に小さな傷をみせつけていくようなじゅくじゅくした気持
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