創作童話詩/水菜
『格子の海』
張り巡らした格子の中に海が広がっている
がたんがたんと戸を揺らすのは、人魚だった
閉じ込められた人魚はただただ外へ出たいともがく
年月を忘れてしまった
気が遠くなるほど長く
白くなった髪は、月の光に照らされて、鈍く光る
三月に一度タンカーが近くを通る
何度となく叫んでも
気付くことはなく
忘れ去れたように
格子の海にうずくまっている
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『街』
埃まみれの倉庫の隅に置き去りにされたくすんだサントゥール 誰も手入れをしないから埃まみれ 手入れをしていた人はもういないの
灰色
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