しろいまぼろし/水菜
 
なにかが迫ってくるようで、臓腑が凍えるかのような感覚に襲われる

ふっと、気づいたときには、そこはどこかの家の玄関先だった
私は、足元に並べられている靴を見ている
女性もののロングブーツと、男性用なのか少し大きめの登山靴、そして私でも知っている
アニメのキャラクターがプリントされた3、4歳ぐらいの子用のものなのか水色の小さな靴が置かれていた 色が水色だったので男の子のものだろうかとあたりをつける

私は、そのまま靴べらで通勤用の革靴を脱ぐと、手馴れたような感覚で下駄箱を開け、靴をしまう

奥の方から夕飯の支度の音だろうか、やわらかな音が聞こえ、温かな匂いがしてくる
テレビの音が
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