砕け散った/葉月 祐
それが足元に描いた小さな銀河
ほんの数秒の事だったが
薄ぐらい照明を吸い込んだ
その破片で完成した名も無い星座に
見とれていたのだろう おそらくは
別に一点ものではない
探せば同じものは
いくらでも見つかるはず
割ってしまったその器に
注ぎ込むはずだった
入れたての大好きなコーヒーの香りは
悲しみの深みを
増していくばかりで
行き場を失ってしまった
黒い液体の真横で
ケトルの中の熱湯が
溜め息を吐き出したように感じる
同じなら何でも良かったんじゃない
昔から隣にいてくれた
わたしのすべてを分かち合ってく
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