砕け散った/
葉月 祐
てくれた
そのティーカップでなければ
ダメだったのに
もう一度
砕け散った欠片を見やると
わたしの鼻は
コーヒーの匂いを感じられなくなっていた
ケトルの横で
温もりと香りの失せていく
サーバーの中のコーヒーの気配を
確かに感じながら
わたしはただ 茫然としていた
温もりだけが消えていくのが わかる
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