砕け散った/葉月 祐
 
てくれた
そのティーカップでなければ
ダメだったのに



もう一度
砕け散った欠片を見やると
わたしの鼻は
コーヒーの匂いを感じられなくなっていた


ケトルの横で
温もりと香りの失せていく
サーバーの中のコーヒーの気配を
確かに感じながら
わたしはただ 茫然としていた




温もりだけが消えていくのが わかる














戻る   Point(4)