灰の肖像/ハァモニィベル
捉へることができるやう
に思はれた。・・・》
だけど、
《苛苛(いらいら)した執念の焦燥が、その時以来憑(つ)きまとつて絶えず私を苦しくした。
家に居る時も、外に居る時も、不断に私は〔…〕
この詰らない、解りきつた言葉の〔…〕、或る神秘なイメ−ヂの謎を》
気づいた時にはもう追い始めているのだ。
《その憑き物のやうな言葉は、いつも私の耳元で囁いて居た。悪いことに
はまた、それには強い韻律的の調子があり、一度おぼえた詩語のやうに、
意地わるく忘れることができないのだ。「テツ、キン、コン」と、それは
三シラブルの押韻をし、最後に
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