透明赤シート/kaz.
とするのだけど、その糸さえも僕の強張った手は触れることができない。気が付けば、ついこの前はその糸を探るだけであったのに、今では糸が切れても構わないから触れてみたい、そんな投げやり気持ちになっているのであった。これだけでも恐ろしいことなのに、追い討ちをかけるように涙は溢れ、もはや血の海の底に沈んだようで、僕にはあなたが見えない。あなたは、赤過ぎる。
きっと、あなたは僕をいつも見ていた。糸を探して必死な様を。しかし、あなたの赤にあれほど染まったというのに、あなたは僕に手を差し延べてはくれないところを見ると、あなたには僕が見えていないのだろう。ちょうど、赤と赤が混じって違う色を成さないように。
色と
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