透明赤シート/kaz.
 
色という色の世界は意識されずに死に絶え、基の色は一つの色に支配される。あの空のように。僕はあなたの赤に染まり過ぎてしまった。そして、赤いシート越しに、表情さえ赤に紛れてわからない赤を、探していたのだった。


ああ、目が疲れた。


僕は、乱反射する陽光を赤いシートが捕らえて、身体に赤い光が刺さるのを、静かに見ていた。
この身を焼いてしまえ。
消えてしまったあなたとは対照的に、自ずと消え失せたい、そんな淡い恋の光、であった。
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