ミステリアス・パロディは月夜を染めて/りゅうのあくび
っと海の遠くを眺めると
その詩人の風変わりな
性癖に満ちた思慕に
暮れる詩情は
すでに薄墨色の影でしかない
ひたすら多くの
詩人たちの影を作り続けていた
ミステリアス・パロディが
数々の詩人たちの
彫像に影を刻むころ
月灯かりは夜霧に
ちょうど隠れていた
詩人の影は気象によって
作られるわけではない
影を作ることができる
詩人がいるということが真実である
それが答えのひとつ目だろう
海辺に託された言葉が
透明な足跡のかわりに
無数の影として残っていて
もちろん隣人であり詩人でもある
黙ったままの不幸でさえも
静かに芽を摘まれていた
少し理不尽な言葉
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