海になればいい(飽和編)/涙(ルイ)
 
置きにされた 痩せこけた仔猫のように
     その頃の僕といえば 何もかもうまくいかずに
     呑んだくれては荒れはてた生活をしていました
     生まれたことが罪の種なのだと
     生きれば生きるほど 現実が容赦なく僕を突き刺しました

     君を初めて見た時 なんだか知らないけれども
     いい知れぬ侘しさが漂っているような気がしたのです
     とても幸多かれし、といった佇まいではありませんでした
     君は生まれてから今日まで どう生きてきたのかを
     とつとつと僕に話してくれましたね
     好いた男はどれもこれもダメな人間ばかり
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