十分/高橋良幸
気の原因で、
歩き疲れていたのに飲み過ぎてしまった
すっきりしていて飲みやすくて
料理の味を損なうことなく、二人の会話を滑らかにした
映画のことなど口に出さず
私たちのテーブル以外、何も見えなくなった
あくる日、私たちは 思い出 される
昨日のデートはいつか忘れてしまうだろうが
たわいもない、というほどのものではなかった、
オフィスのキーボードを叩きながら
繋ぐ手はもうひんやりしていた、と思った
対照的なのは、すれ違った街並みの量に
比例したふくらはぎの熱さ
その翌週、私たちは 思い出 される
イスによ
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