十分/高橋良幸
 
によじ登ってキーボードを叩いていた、私のだらしない格好と
ゆったりとして、ほうけていた同僚の返事
ついこないだまで豆を挽き、コーヒーを淹れていたのに
冗談ばかりだった彼らにも半分仕事をわけてやりたい







次の月、私たちは 思い出 される
予想していなかった忙殺と
それぞれの少しずつの無責任さと
遅く家に帰って点いていた明かり








翌春、私たちは 思い出 される
座敷の忘年会で、愚痴もいつの間にか賛辞に変わっていた
無事に終わった仕事とはそういうものなのだろう








その翌年、私
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