チューしてあげる/島中 充
 
、いつ来るか、ぼくは青れき岩になって、待ち構えた。手が挙がっていないのである。教室を見渡すしぐさで、ケイコと先生を見た。誰も手を挙げなかったので、終わりの会をおしまいにしようと、
「もうありませんか」言ったとたん「はい」とケイコが手を挙げた。ぼくの声はうわずって、
「平井さん」と指さす手はブルブル震えた。
「うちな、六年になったら、他の所へ引っ越しするねん。ほかの学校へ転校するねん。ほかの学校へ行かなあかんねん。いややけど、仕方ないねん。」とケイコは言った。
「そうですね。平井さんは、おとうさんの仕事の都合で六年生からほかの学校へいきます」と先生が割って入った。教室に
「ええっ」と言う大
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