夜行ヘリ/やけのはら/茶殻
だ
鳥瞰のパズルに存在した瞭然たる一片のピースだ、
玉手箱の隅で唇を閉ざす少女の孤独は
引き払われた事務所に残された観葉植物のようで、
哨戒機から見下ろした流氷に佇む子アザラシを想い、
また旅客船に紛れ込んだ鼠の狼狽を匂わせ、
それでいて炎天下に晒されたマウンドの記憶に似ていた、
許されるならば駆け寄って、
しかし私には持ち合わせることばが足りない、
セミのように寄り添ったところでそれはもはや皮肉にすらならない、
途方もない距離の彼方で
湿った太陽しか産めなくなった彼女のために、
愛してる、愛してると繰り返すことは
途方もなく愚かだとしても
どうか、意味を抱くことを願う
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