夜行ヘリ/やけのはら/茶殻
 
ほどの大きな贅沢は私にはもはや毒だ
昨日観た夢を忘れることのたやすさに救われて
奈落の奈落は覗き込まれるに至らない

たらふく沈黙を抱えていればやがて孤独は蠱毒に変わるのだと、
歯ブラシにえずいて吐き出して吐き出して。
下水の辿りつく無量の痰壺はみかじめによって洗われて洗われて。
口ずさむ歌がある限り僕はいつでも自由だ。
金は払うよ、いいさそれで自由なら。
東京の空を飛ぼう、明日にでも。




絹の乳房が波を打つ、
薄化粧の肌が紅炎に燃える、
深い皺が歪むほどにシーツが握られる、
わずかに跳ねる柳腰、
彼女は強く目を閉じ暗闇を祈る、
その扇情にやがて劣情と
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