『薔薇巡礼』/川村 透
 
ちりちり散り、
白騎士鎧銀装束残し刈られた少女の首の変りに薔薇はその赤いうつろに見事にささる。
九鬼どもは確かめもせず山を駆け降りてゆく土ぼこり黄色に垢じみて陽光を惑わせ
少女の体はまだ一歩二歩と歩み続けこんこんと赤の泉は白装束を薔薇に染める。
少女の首は薔薇に生まれ変り一歩進むごと白薔薇は染まり膨れ魔法のように花弁が
育ち大きくつやつやと香をたたえ処女色の薔薇はこくこくと音を立て赤の泉を
飲み干してゆく。
薔薇の同伴者白騎士少女はまだ歩みつづけているロゼ・ピンク《薔薇カルト》


ンーーンンンンンン....


三輪山はまだ緑の茨だった。登山道は銀色に赤く茶色じみて黒く
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