『薔薇巡礼』/川村 透
の姫に変化して
ゆく。兜かぶらむとする手をつと休め水辺の白薔薇を摘み、桃色の口でくわえると
唇を茨刺し思わず目を細め瞬きする凶々し桃の赤く血玉の生まれるつつうキスの仕草
その時、
!!
泉囲む山くろぐろ闇しげみ緑の茨を噛み破り不意に九騎の黒騎士が四方より殺到す
少女騎士、首から下は白騎士装束その鮮やかに結い上げた義の色に映え、
見よ、銀髪の首は無防備のまま。
え、
や!
腰の剣に指伸ばす間もなく少女の首は黒騎士どもにあっけなく刈られる銀の薔薇。
ほと、首は花のように草むらに落ち少女のくわえていた白薔薇が宙を舞い、
銀髪が花火の残像めいてきらきらと陽光に濡れ風の指に運ばれちり
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