二大銀河間におけるくじら式転生輪唱のすべて/北街かな
 
語体系もあたりまえに分離し
物理法則も人それぞれになって
だれもが小生意気に初期宇宙と化しており
ときどきインフレーションを発症して救急車で運ばれている

夜空が死んだ命で膨れあがっていくころには
くじらの歌がうるさすぎるとの苦難によって
全地球市民の睡眠欲が微生物レベルで破裂していく
見よ、あのたましいが百回目の輪廻からはずれていくときの譜面を
やはりボェボェが行き過ぎであるがごとく
そのたましいはすっかり透明になりすぎであったので
ついにくじらは言ったのだ
我々は虹色であると
くじらたちは海水を噴きあげて喜んでいたが
来週あたりには大銀河団がここまで降りてくるので気
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