晩夏/AquArium
 
ェアで
乾杯をしてから
神妙な顔つきでつぶやいた
ただ黙って頷くだけで十分だったのだろうか

お湯の中で触れる背中が
いつもより大きい
赤みがかった?にふやけた指先
静かに目を瞑る



-----ボーっとしていたいな。
   そうですね。
    気持ちいいな?
     うん-----


いつもより少しだけ強めに圧力のかかる上半身
できれば見えないままでいたいわたし、明るい照明を好むあなた
おなじ匂いのする髪

この世界がもし、ただひとりしか映らないとすれば
誰の悲しみも怒りも生まれないのに
いつだってここには、新しい命を宿さないための儀式があ
[次のページ]
戻る   Point(3)