晩夏/AquArium
ェアで
乾杯をしてから
神妙な顔つきでつぶやいた
ただ黙って頷くだけで十分だったのだろうか
お湯の中で触れる背中が
いつもより大きい
赤みがかった?にふやけた指先
静かに目を瞑る
-----ボーっとしていたいな。
そうですね。
気持ちいいな?
うん-----
いつもより少しだけ強めに圧力のかかる上半身
できれば見えないままでいたいわたし、明るい照明を好むあなた
おなじ匂いのする髪
この世界がもし、ただひとりしか映らないとすれば
誰の悲しみも怒りも生まれないのに
いつだってここには、新しい命を宿さないための儀式があ
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