古いレコードを聴いていた(遠い空編)/涙(ルイ)
思いたかった。
相変わらず君の瞳は凍りついたままで、ぼんやり考え事をしていることが度々あった。
君の態度はいつもとてもそっけなくて、冷たい人みたいだったけれど、
けど時々、何度も確かめるみたいに、僕に「愛してる」という言葉を云わせたがったりもした。
理由を聴いても、君はただ微笑むばかりで。
抱きしめようとすると君は、決まって僕の腕をスルリとかわしてしまう。
困惑する僕をよそに、君は一番のお気に入りのジャニスのレコードを聴きながら、
僕にはよくわからない話を、真面目な顔して話し始めるんだ。
僕にはなんだかそれが、これ以上私の中に入ってこないでと、そう云われているような気がして。
僕
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