古いレコードを聴いていた(遠い空編)/涙(ルイ)
一杯で閉店まで。
君はあまり話すほうじゃなかったけど、
僕のくだらない話には、顔を赤らめてよく笑ってくれたね。
沈黙でいると今にも二人、淋しいって口に出してしまいそうだったから。
いつまでもこの時間が続いてくれたらいいって、本気でそう思ってた。
君とずっと一緒にいたいって、離れたくないって思ったんだ。
その日のうちに、僕らは一緒に暮らし始めた。
一緒に暮らしはじめても、君はずっと謎めいたままだった。
どれだけ躰を重ね合わせても、どれだけ互いを求めあっても。
愛してるなんて、恥ずかしくてとても口に出しては云えなかったけれど
それでも僕は、君を愛していた。愛している、と思い
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