古いレコードを聴いていた(遠い空編)/涙(ルイ)
 
うで、触れたら壊れてしまいそうな瞳、
それでいてどこか周囲とは違う、凛とした佇まいの君に、
僕は一瞬で釘づけになってしまったんだ。
しばらく黙ったまま君を見つめていると、
君は静かに僕の方を見て、やさしく微笑んでくれたよね。
どうしてこんな淋しいところにいるのかって僕が聞いたの、憶えてる? 
君はそっけなく、好きな場所だから、とだけ答えた。
それから、あのビルの向こうに何があるのか知りたい、とも。
行ってみようかって僕は誘ってみたけど、君は首を横にふったよね。
じゃあお茶でもしない? ここにずっといるのは寒いし、風邪ひいちゃうよって云って、
二人、近くの喫茶店に入って、珈琲一杯
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