古いレコードを聴いていた(遠い空編)/涙(ルイ)
を隠し、君は僕に心を隠した。
一度でも本心で語り合ったことがあったか。
僕がどれだけ君を傷つけてきたか。どれだけ君を苦しめてきたか。
それなのに、君はいつも悲しそうな顔で笑うばかりで。
一度だって本心をぶつけてきてくれたことなんかなかったじゃないか。
そんな日々を、それでも君は『大切だった』と思えるのか?
この期に及んで、取り繕うのは止めにしないか。
君とはじめて出逢ったのは、枯れ葉の舞い落ちる12月の、風の冷たい夕暮れ時だった。
街はずれの街灯の下、震える躰を支えながら君は、遠くビルの向こうの空を、
いつまでもいつまでも探し続けていたよね。
儚げでどこか悲しそうで
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