花の殻 湧く、次々と/ヨルノテガム
 
春に夏を待っているのか
  夏にはもう秋を待っているのではないだろうか
  秋は過ぎ冬、冬眠するように過ごし
  再びの春に気炎を上げて対峙する
  新芽のまぶしさに遠く目を細め
  消していった全てのことを誰かが再生し
  変更してゆく仕組みに目を凝らしている


 *
 湯船に手が浮かび 向こう岸の肩へ上がると
 滑り落ちこむ つづき唇が慎重にうなじの崖を
 登りゆくのね 黒髪の闇夜に旅人迷い
 小鳥の悲鳴に怯えながら
 花咲く安息の丘の夢に忍び込む蛇となる


 *
 花の殻  花の殻

  湧く     次々と



  変伸

 神様と
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