祈り/ソリッド町子
生ぬるい風に吹かれていると
君が向かいのホームに立ってる幻が見える
すべてまぼろしだった
君が好きだから、君を殺せたらいいのに
君が好きだから、どうか幸せに笑っていてほしい
朝になって夜になっても
花が咲いて散っても、この炎が消えても
海が全部蒸発しても
この気持ちに終わりなんて来ないで
来ないで
来ないでよ
そこにいてよ
光の中に立っていてよ
でも祈りはいつだってすぐに燃えて尽きてしまう
灰だけが残る、いつも
僕はそれをぎゅっと握りしめてダイヤモンドに変える
みんな出ていってしまった後の部屋
みんなが通り過ぎていった窓枠の
向こうにある青い空いっぱいに
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