原始、言葉はそうであった/コトバスキー
 

もじゃもじゃお化けは
何と呼んだらいいのか
わからずうっかり
言葉をポロリ落とした

3
一匹の若い怪物は
言葉の奥深くに潜んでいた

ライオンのような爪をもち
ワニのように大きく口を開き
蛇のような舌がチロチロと

空気の振動拍を透明の中に探し求めていた

それは言った
言葉は単なる音に過ぎず、あまたの原子や分子が
生き物を支配せんと体を揺らしているだけに過ぎない
言葉の振動拍はほかの音よりよっぽど震えるし
たまらなく美味である
人間でゆうところの牛肉のような柔らかさと
脂の甘味を同時に味わうような快感がある
特に人間が騒々しく喧嘩しているときの
[次のページ]
戻る   Point(1)