冷えていく鉄/木屋 亞万
 
せずに体温に近づけてみたりした。見よう見まねで、神に祈った。表情について学習し、最新のジョークを覚え、踊りや音楽についても詳しくなり、あらゆる乗り物の操作マニュアルもインポートし、余生を過ごすのに十分なお金も調達した。
命が宿れば、その生まれたての心で、自分自身に名前を付けようと決めていた。電子頭脳に縛られない自由な発想で、魂は自分に何と名づけるだろう。そのことを予期するたびエラーが出たが、そのエラーも核心に近づいているからであるように思えた。
明日でちょうど製造されて百年になる。その夜、ロボットは夢想した。明日には自分に性別ができ、名前ができ、魂のあるものとして新たな始まりを迎えるのだ。学校
[次のページ]
戻る   Point(1)