救急室3/オダ カズヒコ
転がることにした。熱もないし、特にしんどいわけでもない。しかしなんで彼女はぼくを救急室なんかにつれてきたのだろう?おたふく風邪とか言っていたので、感染症を疑い、院内感染を避けるための措置なんだろうか?説明がなかったのではっきりはわからないが、おそらくそうなんだろう。
さて、することがなくなったぼくは天井のトラバーチンの穴ぼこの数を数え始めた。スマートフォンは病院の駐車場に停めた車の中だし、“楽しい”看護師さんはさっさと出て行ってしまったし、ぼくは病室という隔絶されて世界の中に今一人取り残されてしまったのだ。そしてトラバーチンの穴ぼこの数を数えるという作業に意義を見いだせなくなったぼくは、ベッ
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