救急室3/オダ カズヒコ
 

ぼくほ問診票に書いた通りの説明をした。

内科の診察室の中から、長椅子に腰を掛けるぼくのところにツカツカと歩み寄ってきた、おそらく看護師と思わしき三十代後半くらいのその女性は、ぼくを診察室に招き入れるわけでもなく、ぼくの腫れた頬っぺたを触りながら、廊下で「診察」をはじめたのだ。

「ここ、痛む?」

多分、ぼくと同級生くらいと思われる女の看護師は、ショートカットの髪を茶色に染め、少し濃いめのブルーのアイシャドーを入れていた。

「おたふく風邪かもしれないわね」

如何にも世慣れた風な彼女は、ポケットからマスクを取り出し、「これ、しといて」とぼくにマスクを手渡すと、手招きをし、
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