救急室3/オダ カズヒコ
つくのを止め、病院の奥の廊下に消えた。
すると今度は目の前のエレベーターがドスンと開き、ストレッチャーに寝巻きのままぐるぐる巻きされた足の無い、八十歳くらいの、別の爺さん運ばれてきた。白髪の坊主刈りで、よく太っている。ぼくの目の前を通り過ぎていくその爺さんの染みだらけの顔を見ていると。左の目から涙が流れ出しているのが見えた。
「私たち長く生き過ぎたのね」
正面玄関の、テラス側の廊下で、車椅子の婆さんたちが話しているの聴こえた。
「ジュウイチバン オダサン! オダカズヒコサ〜ン」
「はい」
「どうされました?」
「顔に発疹と下顎の辺りにシコリと腫れがあります」
ぼ
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