貴女は死、夜の眠り/凍月
ですね
それが
限りなく嬉しくて
「ところで、後悔は無い?」
と尋ねられたので
「ありません」
と即答する
「死ぬ前に貴女に会えただけで、それで十分です」
彼女は
ふふ
と笑ってこう言った
「それなら、私が……君が絶対に“まだ生きていたかった”と思えるようなやり方で…」
“殺してあげる”
悪戯っぽい魅力的な笑顔だった
でも、それでも
今の僕には迷いも後悔も無い
「さよなら」
貴女はそう言った
貴女は、その細い両腕を僕に伸ばした
冷たい手が僕のうなじに触れた
そのまま、ふわり と
君の体重が僕に流れ
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