貴女は死、夜の眠り/凍月
 
ですね
それが
限りなく嬉しくて


 「ところで、後悔は無い?」
と尋ねられたので
「ありません」
と即答する
「死ぬ前に貴女に会えただけで、それで十分です」

彼女は
ふふ
と笑ってこう言った

 「それなら、私が……君が絶対に“まだ生きていたかった”と思えるようなやり方で…」
 “殺してあげる”

悪戯っぽい魅力的な笑顔だった
でも、それでも
今の僕には迷いも後悔も無い



 「さよなら」
貴女はそう言った
 貴女は、その細い両腕を僕に伸ばした
  冷たい手が僕のうなじに触れた
   そのまま、ふわり と
    君の体重が僕に流れ
[次のページ]
戻る   Point(5)