貴女は死、夜の眠り/凍月
の目の前にいて
僕の顔を覗き込んでいた
また、大きな目が瞬きをした
瞳に吸い込まれて消える
白い肌だ
「ねぇ」
と呟くゆうに言われ
死体のように硬直して
「なんで君は此処に来たの?」
と問われて初めて思い出す
そうだ
僕は死にたかったんだ
「死に場所を探しに」
と応えてみる
「なるほど、それなら此処に来て正解だったね」
「首吊りも断頭も銃も薬も火も水も、死ぬためのものは全部揃ってる」
「何より、死んだ後の墓があるからね」
そう言って微笑んだ貴女は
この世の何より美しかった
そして貴女は
死のうとする僕を
引き留めないのです
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