貴女は死、夜の眠り/凍月
 
の目の前にいて
僕の顔を覗き込んでいた
また、大きな目が瞬きをした
瞳に吸い込まれて消える
白い肌だ


 「ねぇ」
と呟くゆうに言われ
死体のように硬直して

 「なんで君は此処に来たの?」
と問われて初めて思い出す
そうだ
僕は死にたかったんだ

「死に場所を探しに」
と応えてみる

 「なるほど、それなら此処に来て正解だったね」
 「首吊りも断頭も銃も薬も火も水も、死ぬためのものは全部揃ってる」
 「何より、死んだ後の墓があるからね」

そう言って微笑んだ貴女は
この世の何より美しかった
そして貴女は
死のうとする僕を
引き留めないのです
[次のページ]
戻る   Point(5)