貴女は死、夜の眠り/凍月
なのか判断が付かなかった
段々と目が慣れると
目の前に
十字架の墓場があった
傾いた幾つもの十字架
何だここは……
十字架だけではない
地面に刺さった処刑刀
絞首台に断頭台
そして黒く装飾のある棺
蓋は開いていた……
数個散乱した頭蓋骨
尺骨と背骨
地を這う幾何学模様
R.I.P.と刻まれた墓石…
一体此処は何なのだ?
墓場か…?いや違う
そうすると何なのだろう
何をする場所なのだろう?
瞬間、耳に迷い込む歌声
透き通った、今にも消えそうなか細い声
それだけで、身体の芯が震えるような
言葉ではない
旋律だけの鼻歌のような
三日月の切なさと
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