空の白クマ/鈴置友也
っとおおきな獣で
あるとき躰をおこしてあくびをして
それからブルッブルッと水滴をはらう
ぼくらの街にふる雨が
なつかしい白クマの話をしてくれた。
(あれの名前はどんちゃんといってね
くるくるころがるのがだいすきだったの
あんまり地面をころがるもんだから
ある日沼におっこちて死んじゃった)
今どんちゃんは空のうえで
飛行機とよく遊んでいるらしい
とととと、とと、ととととと、ととと、とととと
窓のむこうにのっぺりとひろがる
もうひとつの海のうえで
コカコーラの白クマが手を振っているのが見えたら
それはどんちゃん。
ソフトクリームが鼻の先についたら
それ
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