ナニカ/草野大悟2
機密文書のうち「極秘」と判断された文書の閲覧権やアクセス権は、局長級以上にのみ認められており、課長級の野津には見ることはできない。野津は、一五年前の荒木中学校の事案と同様、学校、教育委員会ぐるみの隠蔽工作が行われているのではないか、との強い疑念を抱いた。
野津は、子ども二人と一緒に闘うと決めてから、優太としのぶが作成した資料を持って何度も学校に足を運び、事実関係を明らかにするよう校長と教頭に迫った。校長と教頭は、「文科省指定の生活力向上モデル校である本校で、おっしゃるようなことがあるはずはありません。あまりしつこくされると警察に通報しますよ」と、判で押したように言うだけで、学校内調査委員会を
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