ナニカ/草野大悟2
 
会を立ち上げる気配さえなかった。
 業を煮やした野津は、優太としのぶを伴って荒木警察署を訪れた。受付の婦警は、野津の顔を見て、「あっ!」と小さく声を上げ、あわてて口を押さえた。野津が用件を告げると、こちらですと言って二階の生活安全課に案内した。生活安全課内の住民相談室という一○畳ほどの部屋で待っていると、ほどなく長身の男が現れた。
「お待たせしてすみません。相談係長の倉岡です。昨日のお電話では、荒木小学校でのいじめ事案のご相談ということですが」
「相談というより、子どもらに暴力を振るった先生達といじめた生徒達とを告訴しに来たんです」
 この類の相談を嫌というほど受けてきている倉岡は、またか
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