ナニカ/草野大悟2
 

「そう、平気なの。いつまでそうやって強がっていられるか見物ね」 
 三学期の始業式の日から始まった優太としのぶに対するいじめは、日ごとにエスカレートしていった。
 二人は、毎日机と椅子を隠された。下駄箱の靴を隠された。黒板に「死ね!」と書かれた。教科書を破られ、ノートは買う度に盗まれたり破られたりした。給食のおかずに、おが屑やチョークの粉が入れられていることもあった。机の上に、牛乳瓶に入れた菊の花が飾られ、「死んでおめでとう」「ジゴクにおちろ」とマジックで書かれていることもあった。
 葬式ごっこが始まっていた。
 しのぶは、空手が強かった。優太も腕力はあった。それでも二人は、いじめて
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