ナニカ/草野大悟2
ように言い放ち撮影を開始させた。
「やめろ! あんたらの取材に応じるつもりはない!」
「そんなこと言わないでさぁ、いいじゃん、そんな時間かかんないし」
別の記者が言った。両親と子ども達と斎場関係者が目を丸くして見つめていた。一時間に近い押し問答の末、彼らがやっと帰った後の気まずい雰囲気の中で告別式は終わった。
市営火葬場の火葬炉から出て来た理沙の骨は、驚くほど白く輝いていた。遺骨を自宅の仏壇前に作られた白い台の前に置き、黒いリボンをかけた遺影を台の上に置いた。
「健一さん、取材の時の話本当なんでしょうか?」理沙の母親が訊いた。隣には鋭い視線を野津に向けている父親がいた。
「健一君、
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