ナニカ/草野大悟2
どを包み隠さず話した。
交通事故捜査課の警察官は、野津の話を参考人供述調書に録取して読み聞かせ、野津の言うとおり二カ所を訂正した後、署名押印を求めた。
事情聴取が終了し、霊安室に安置されている理沙に線香をあげ、葬儀の手配を済ませた時には時計はもう午前三時を回っていた。野津は、タクシーを呼んで貰いやっとのことで実家に帰った。玄関の鍵をそっと開け、両親と子ども達を起こさないように足音を忍ばせて階段を上った。二階の寝室に入ると着の身着のままでベッドに倒れ込み、そのまま寝入ってしまった。
昼近くに目覚め、リビングに降りた。子ども達と両親が雑煮を食べながら正月番組を見ていた。
「おはよう」
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