ナニカ/草野大悟2
「おはようお父さん。お母さんはまだ寝てるの?」
しのぶが訊ねた。両親は何か訊きたそうなそぶりを見せながら、「おはよう」と言って野津を見た。
テーブルに座り新聞を広げた。理沙の事故のことはどこにも載っていなかった。いくぶんほっとして雑煮の汁を啜った後、野津は、おもむろに口を開いた。
「実は……今朝早く、お母さんが亡くなった」
四人は、驚いて箸を止めた。
「明日がお通夜、明後日が告別式だ。お母さんの実家にはもう知らせてある。遺体は、荒木警察署の霊安室に安置されている。今日、検死をして、終わったら遺体を引き渡すそうだ」
「お母さんはなんで死んだの?」
それまで、黙って野津の話
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